心理学を勉強すればするほど、親、という存在がとても不思議に思えます。
PPS_hirobanooyako_TP_V

まず、親がいなければ、自分、という存在はこの世に存在していなかった。

当たり前ですね。

両親が育ててくれたから、自分、という存在が、今ここにある。

当たり前ですね。

***

僕がセッションでよくお伝えしているのが、両親から決して良いエネルギーを受け取っているわけではないということです。

特に自己肯定感(自分で自分を認める)ができない人は、だいたいのところ、両親から否定されて育ったために、苦しい人生を歩んでいる人が多い。

とても残念なことだけど、これは事実です。

***

その人がどうすればもっとスムーズに自分らしい人生を歩めるか、また、多少の障害があっても乗り越えられるような精神を獲得できるか、をテーマに僕はセッションをやっています。

だから、セッションにはほとんどと言っていいほど、クライアントの方の両親の話題になるし、その悪い意味での呪縛からどうすれば解き放たれるのか、を見つめながら、話を聴くようにしています。

ほとんどの場合、いや、ほぼ100%、それでも両親に感謝できる人が、苦しみから解き放たれ、自分の責任で、自分らしく、楽しいを選択した人生を歩めるようになります。

この(あえてこういう言い方をします→)現象はとても不思議です。

呪縛を与えた人に感謝するという一種のパラドックスが人を救うのですから。

***

ただ、無理に感謝しろとは言いません。

今は感謝できなくても、やがて自分は両親に対して感謝の気持ちを伝えることができると、そうコミットするだけでも、人は随分と変わっていきます。

かつて、僕は両親を憎んでいました。

プライドが高く、人から嫌われたくないがために、自分がやりたくないことを引き受けてしまっていた父。

同じくプライドが高く、人の批判ばかりやって、自分では人のために行動することのなかった母。

少なくとも幼い頃の僕にとって両親はそのように映っていました。

***

僕は過去、「親に感謝できない奴はダメな奴だ」と上から目線で、人生を悟ったような振りをしている人に言われたことがあります。

その人には申し訳ないけど、その意見はあまりにも一面的すぎます。

世の中には親を愛せない、感謝できない人も大勢いるのです。

人の心というものを勉強すればするほど、その事実を簡単に理解できます。

***

大切なのは、自分が成長する過程で、親という存在としっかりと向き合うことだと思います。

繰り返しになるけど、親に感謝できない人は、「やがて親に感謝できる自分になる」と自分自身に約束するだけで十分だと思います。

今は、感謝できなくてもいい。感謝できるタイミングはいずれやってきます。

それまでは自分が楽しいと思える人生を選択して、充実した毎日を送ることを心がけてほしい。

まだ出会っていないあなたに対して、僕はそう願っています。